
生活者視点に立つのはビジネスの基本ですが、それはデザインの世界も同じです。
その本質的な話の好事例として。
湖池屋グローバルデザイン・デジタル推進室長 近藤圭さんのデザイン論に共感しました。
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「2秒で選ばれる世界」で戦うデザイン 「ストーリーや伝えたいことすべてがデザインに」
〈AERA〉
全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。
〈AERA.dot / 2022年11月6日〉
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近藤さんは、同社で発売する年間60以上の新商品のデザインを決定している方。
「KOIKEYA The のり塩/The 麹塩」は、日本食糧新聞社が主催する食品ヒット大賞「優秀ヒット賞」を受賞しています。
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その近藤さんが、常に大事にしていることは「入り口と出口」とのこと。
入り口とはデザイン制作のスタート。
出口とは売り場、つまり生活者とのタッチポイントです。
近藤さんは、パッケージデザイナーに新商品の発注をする時、まずは必ず自分でお金を出して自社製品を買うとのこと。
これは、パッケージデザインを選ぶ瞬間の購入者の気持ちを理解するためです。
選ばれる「顔立ち」になっているかを想像し、そこから逆算してデザイナーに説明する言葉を選んでいく。
こうすることで良き入り口に立てるということです。
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見方を変えれば、近藤さんは「出口」から始めていると言えます。
出口に立って、お客さまの気持ちを掴む。
その上で、実際に世に出したデザインに対して、
ネガティブなコメントがSNSに上がっていたら、
すぐに社内に周知し、制作過程で見落としていたことがなかったか、チームでとことん話し合っているそうです。
ここでも生活者の声、つまり「出口」に立ち、入り口を考えています。
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一つの商品が完成するまでには、開発やブランディングなど、多くの人々が関わります。
その中で点と点を線に繋ぎ、出口へと引っ張っていく。
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商品の背景に流れるストーリーや意味、お客さまに伝えたいこと、全てがデザインだと考えているそうです。
常にユーザー(出口)視点で人の心を掴むデザイン(機能)を考えていらっしゃった哲学の源泉に触れることができま。
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言葉にすると簡単ですが、デザイン開発はさまざまな人(会社)が介在します。
理想に近づけようとする中で、
さまざまな人のさまざまな事情を目の当たりにする中、
チームがブレずに進んでいくとしたら、
相当高い解像度の顧客理解が必要となります。
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どれほど出口の解像度を上げることに心を向けたか、非常に勉強させられます。
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