"建築家はメンドクサイことを言う職業だと思っている"
"ヤッカイでコムズカシイことを言っているイメージだ"
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これは個人的な意見であって良い悪いの話ではありません。
ある時ある人と連絡を取り合っているときの話です。
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世の中の建築家の中には、なるべく難しい言葉を使わずに建築の打ち合わせをするように心掛けているなんて話をよく聞きます。
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建築はかなり専門性が強く一般の方では分かりにくいことや専門用語も多いですし、
それを噛み砕いた言葉に置き換えて説明するのは親切であり分かりやすくて良いことだと思います。
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でも、自分はこういった専門用語や難しい言い回し、
素人では気づかないような細かいデザインや工夫をコムズカシイ言葉を使いながら話すようにしています。
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とは言え全く伝わらないのでは意味がないので後から説明はするようにしていますが、
基本的には業界用語もバンバン使います。
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と言うのも、クライアントはそういった『ことば』に興味があるから建築家に依頼をしたのではないかと思う節があるからです。
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例えばキャンプに興味のある人が、
キャンプ道具を買いに行って店員さんが専門用語を使いながら説明してくれるとなんだかプロっぽくなれる気がするかもしれないとか…
サッカー中継の解説でもけっこう専門用語が使われていたりだとか…
サッカーをやっていないので不明な点もしばしば、素人では分からない『ことば』が多用されていたりします。
文豪の小説や芥川賞などを受賞する作家さんの著書などは難しい『ことば』やわざとと思う言い回しがあったり、
最近は三島由紀夫の『金閣寺』を読み直しているが、
やはり難しい『ことば』が多く読みにくいが、それゆえ印象にも残る美しい『ことば』があります。
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決して専門用語を使ってお客さんを煙に巻くわけではありません。
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クライアントは高い専門性を期待しているのであれば、それに応える『ことば』使いをしても良いと思うのです。
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そこには自分なりの狙いもあって、クライアントにもこっちの世界の人になってもらいたいと期待を込めて
こっちの世界の『ことば』をクライアントと共有できるようになると、
クライアントがグッと建築や自らのプロジェクトに関心を抱いてくれるようになります。
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更にはもっと知りたい
もっと拘りたいという気持ちが湧いてくるように思います。
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少なくとも自分は建築に興味があって自身のつくる建築にプライドを持って欲しいので敢えてこのような話し方をしています。
『ことば』は悪いがクライアントを育てるくらいの気持ちがあってもよいのではないだろうか…
そうでないとクライアントの希望をただ形にするだけの御用聞きになってしまう気がするのです。
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御用聞きを求めるクライアントもいますが、自分はそうはなりたくはありません。
そうならないためのマウントを取っているのかもしれません。
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会話でも文章でもであるが、その中に『苦味』が欲しいと思ってしまいます。
コーヒー通は、豆の苦味にこだわる
ビールは苦味がやみつきになる
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『ことば』にも『苦味』がないと自分は物足りないように感じてしまうのです。