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□世界の紙幣デザインに関する調査結果 1万円、5千円、千円札のデザインがまもなく刷新される。日本の紙幣は偽造防止の目的から約20年の周期で刷新されており、次回は2024年度上期をめどに新しいデザインが流通する予定だ。 新1万円札の図柄には実業家の渋沢栄一、5千円札は津田塾大学を創設した津田梅子、千円札は日本細菌学の父として知られる北里柴三郎を採用。裏面にはそれぞれ東京駅舎、藤の花、葛飾北斎 富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」を描く。 刷新の際はいつも図柄が話題になるが、現行の紙幣デザインを正確に思い出すのには苦戦する。キャッシュレス決済が普及して紙幣を目にする機会が減りつつあることを別にしても、裏面に描かれているモチーフがパッと頭に浮かぶ人は少ないのでは。海外のものとなるとなおさらだ。 一方「紙幣であることがわかるデザイン」というのはあり、紙幣とそれ以外のものを間違えることはまずない。文脈によるところもあるが、初めて見る海外の紙幣も「何これ?包み紙?」とはならない。 金融商品を比較できるサービス「Money」を運営するイギリスの Money.co.uk が発表したのは、そんな体験に関係がありそうな世界の紙幣のデザインに関する調査結果だ。 □全紙幣の23%が緑色 調査ではまず各国を代表する紙幣を決め、それに使用されている色や図柄の傾向をまとめている。各国を代表する紙幣は「人気がある」「20ポンドに近い」など必要に応じて条件を変えながら選定し、必ずしも最高額紙幣ではない。日本円の色は「15-1218 TCX Semolina」で、1万円札が選出されている。 まずは色味の傾向。使用されている色で最も多いのは緑(23%)、次は黄色(18%)。緑といえば米ドル紙幣が思い浮かぶが、黄色い紙幣にはウガンダ・シリングなどがある。次いでグレー(17%)、青(14%)、紫(10%)。赤、オレンジ、茶色はいずれも10%未満となっている。 □紙幣に描かれる人物の93%が男性、39%が政治家 続いて、描かれている人物の職業。人物が描かれた1,383の紙幣を調査した結果、政治家が547人、320人が王族、153人が作家で、男女比は男性の方が圧倒的に多い。ただし最も多く描かれている人物はエリザベス2世で、11カ国45種類の紙幣に採用されているという。 □文化と技術を反映する紙幣デザインの役割 紙幣に関する研究は電子マネーまでをその対象に含みながら、貨幣学、経済史、歴史学、考古学、文化人類学と幅広い領域にわたる。この調査だけで語れることは少ないが、調査結果からは傾向それ自体に加えて、世界の現行の紙幣デザインがいかに共通項を持っているかが分かる。また、紙幣デザインは偽造防止技術の進化の歴史でもある。例えば国際的に最も認知されている通貨の一つである米ドル紙幣の緑色のインクは、もともと1860年代に写真の偽造を防ぐために選ばれたものだ。 人々の生活に深く根ざし、各国の文化と時代の先端技術を反映する貨幣は、そのデザインが世界の共通項と差異をあぶり出すものとして、キャッシュレス化の時代にも別の役割を果たすのかもしれない(ただし調査を実施したMoney.co.ukは、キャッシュレス化が進む現代にこの調査を実施した背景として「完全なキャッシュレス化が実現するのはまだ遠い未来である」という考えを述べている)。 □改めて紙幣デザインを見てみると ちなみに2024年から流通する予定の新1万円札は緑がかったデザイン(裏面はオレンジ?)で、世界の傾向に寄せていっているともいえそうだ。また、日本円の紙幣に対してはざっくりと「グレーやベージュに近い落ち着いた色味」というイメージを持っていたが、この調査結果を受けて改めて新紙幣のデザインを見てみると、5千円札は鮮やかな紫、千円札は水色であると気づく。
by kotanimasafumi
| 2020-05-10 09:18
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