「憧れた最高の舞台に最高の仲間と立っている」。広島県北勢で初の甲子園と言う夢を叶えた広島新庄高校野球部、中林航輝主将の選手宣誓。
野球部発足の1933年の夏、初戦はこの年5年連続で甲子園出場を決めた強豪・広島商だった。
結果は0−47で五回コールド負け。
当時宮庄栄三部長が「泣くな、ラムネを買うちゃる」と泣きじゃくる選手を慰めた逸話が残る。
創部86年の伝統を誇る広島新庄野球部。積雪や部員不足などによる苦難の時代を乗り越えた。
「昔はスキー部を兼部する選手もいた。それでも勝てたのは、自分たちで足りない部分を考える習慣があったから」。
冬は長靴を履いてのランニングや体育館での筋力トレーニングで鍛えるという。
「ずっと昔から厳しい環境で戦ってきたことがチームの原点。先輩方に感謝したい」と迫田守昭監督。
「自分たちの姿が明日への希望となるよう全力で戦う」。
そう中林主将は宣誓を締めた。
県の北部地域から甲子園に出場するのは広島新庄が初めて。
05年に「平成の大合併」で誕生した北広島町のうち、学校のある旧大朝町の人口は3000人ほど。100年以上の歴史を持ち、地域に根付いた学校の快挙に、地元は沸いている。
両親、親戚、学校関係者、地元の支援、何より仲間が後押しする。
感謝の気持ちを忘れず誇りを持って戦い抜いてほしい。