師曰く
「建築は階段に始まって階段に終わる。」
「家」安藤忠雄を読み返していると頭を過る。
ギャラリー野田の階段は本当に美しいと思う。
階段のために作られた狭小の空間には、
機能と掛け合わされた劇的な空間演出される。
昇っていくとさっきまで居た場所が上から眺められる。
住宅(ギャラリー)でこういう経験を得られることはあまりない。
端に追いやられがちな階段室から解放され、
単純な断面空間に緊張感が漲る。
ジオ=ポンティ曰く
「階段は深淵である。」
ジオ=ポンティの「仲立ちとなるイマジネーションによって」という章の1節。
(私は高いところから見た階段をいっているのです。)
階段を上がる或いは下がることで体験する、
「さっき居た場所を階段の上から眺める」という行為。
階段という要素は、空間と空間をつ繋ぐものだけども、
さっきまでいた「この場所」が「あの場所」にどこかのタイミングで変容させる、
不思議な分節を空間にもたらせてくれる。
「素晴らしい建築」には、魅惑的な階段がある。
もちろん階段は建築の部分なのだけど、
全体を立体的に秩序立てる重要な建築要素。
素晴らしい階段に出会いたいと思う。