経年変化を考える。
建築で経年というと経年劣化ということが連想されがちですが、
"経年変化"と"経年劣化"
言葉の意味としては、"経年変化"も"経年劣化"も、
結局は、"摩耗" "腐食"など、朽ちる。ということになるのですが、
一方では、
"味わい" "哀愁" "こなれる" など、その劣化を"良し"とした表現もあります。
そもそも建築は、自然と人の真ん中にあって、自然の環境をその外皮で受け止め
中の人の暮らしを守る「器」です。
その中の人は、家族の成長に伴って変化し、暮らしのリズムも変化するから
器も共に変化してもいいのではないか。
それが年月とともに思い出を重ねていく。
という考え方として、"味わい"とか"哀愁"という表現につながっているのだと解釈しています。
どんな材料も朽ちないものはないわけだし、朽ちないように見える材料もなんだか不自然で、
やはり、経年で変化していくものがいいと設計者として思っています。
特に住まいで、手で触れる部分や、街並みと触れ合う外皮については、特にそう思います。
すれて、ピカピカになった敷居や、こすってツルツルになった柱。やっぱり理屈抜きでいいです。
そんな「住まい」がいいなと思っています。